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本部側が提示した概要は池波の想像から大きく外れてはいなかった。
しかし、池波の中に一つの疑問が湧き上がる。
「この話って……上の方は承諾しているんですか?」
橘にそのような事を聞くと言うことは、県警本部の上、つまり県、警察庁等の管轄部門を指しているのは明白だった。
答えにくい質問かなという思いもよぎったが池波の思惑に反し、橘は気にする様子もなく返答する。
「もちろん、そちらの方は了承済みです。そちらのテレビ局にご迷惑をお掛けしないようにマスメディア対策も行うつもりです。情報提供を行うのも、そちら一社にだけですので独占放送を行って頂けます」
「では、こちらにはデメリットはほとんど無いという事になりそうですが……」
池波の言葉に三人は頷いて見せた。
《警察から独占権が与えられるならば、もはや断る理由は見つからない。……後はどんな情報を提供して貰えるかだな》
その部分は単刀直入に池波は聞くことにする。
「例えば、どのような情報が頂けるんですかね?新しい目撃証言?遺留品情報とかでしょうか?」
先程のように三人はひそひそと何かを話し、今まで緩んでいた表情を神妙な面持ちへと変化させた。
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