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夏川は手の平に名刺大の紙片を再び取り出して眺め見る。
長会議の後に浅沼は用事があるからということで手帳に何やら書いたと思ったら、それを破り取り゛取りあえず、それをよろしく゛と夏川に渡したのである。
ちょうど昼時なので本部内の食堂でいつもと代わり映えのしない焼き魚定食を食べながらその紙片を眺めているのだが、夏川はさっぱり書かれている意味が理解できない。
゛イタッ゛
口の中に魚の骨が刺さる。
注意してなかったわけではないのだが、不意の痛みに手の力が緩み箸を床に落としてしまった。
落ちた箸を拾うその瞬間、床のタイルの灰色がアスファルトの色に似ているせいだろうか不意に現場の写真が頭に浮かぶ。
゛ウッ゛
箸を拾い上げると若干の吐き気が込み上げた事と、もうほとんど食事を済ませている事もあり、夏川は両手を合わせ食事を終わらせた。
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