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《これは画期的な発想だと言えるのかもな……》
警察本部の表玄関から出て来ながら、TKCテレビ局プロデューサーの池波はそう考えていた。
最近では一通りのアイデアは世の中に出尽くされ、番組プログラムも飽食の時代に流されつつある。
バラエティも画一化の道をどこまでも辿り、どこのテレビ局も似たような番組編成を組みがちになり、近頃ではテレビ離れも進んでいるそうだ。
池波もそれを打破しようと様々な企画を打ち出してきたのだが、一定レベルまでの評価は得られるのだけれどもそれ以上の評価まで届く事はなかった。
そんな折に今回の話は舞い込んできた。
昼食を取ってブースの片隅で昼寝をしていると一本の電話がテレビ局にかかってきたのだ。
いつもならば直接電話に池波が出ることはせず、アシスタントを通してから話をするのだが今回は特別だった。
相手が警察本部の広報だったからである。
何事かと話をしてみると゛近年の犯罪者の検挙率の低下を打破するのにテレビ局に力を貸して欲しい゛ということが話のポイントらしい。
゛詳しい話は是非本部で゛という誘い言葉に興味を持った池波は、直ぐにアシスタントに今日中の仕事の指示を行うとタクシーに乗り警察本部に向かう。
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