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「ひっく…うー、お、母さん、も、お父さん、も、リョウも、大嫌い……ばか、ばか、ばかぁぁあ~」
「またこんなとこで泣いてる。クレア、見つけた。」
優しい声が聞こえて顔をあげるとセイン兄ちゃんがこちらを覗きこんでいた。
「……セイン兄ちゃん、今日は何の日か分かる?」
突然の質問にちょっと驚いたセイン兄ちゃんは、少し考えた素振りをするとにっこり笑ってみせた。
「クレアのお誕生日、だよね?」
そう言われると、もっともっと堪えきれなくて、セイン兄ちゃんの胸に飛び込むように抱きついた。態勢を崩したセイン兄ちゃんと一緒に地面に倒れこむけど、そんなことはお構い無しに、私は泣いた。
一言、誰かに言って欲しかった。お誕生日のこと。私が生まれてきた、大切な日のこと。
セイン兄ちゃんは、少し驚いたみたいだけど、倒れこんでも泣き続ける私の背中を、ゆっくりと優しく撫でてくれた。
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