雨音の調べ

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初めて彼に逢ったのは、お気に入りの温室だった。 いつからそこにあって、いつからこの姿になったのかは分からない。たまたま私が見つけたときにはこの姿のままだった温室。 最初はちらりと覗くだけだったけど、誰も来る気配も、来た気配も無かったから、ちょっと罪悪感を抱きながらも中へ入ってみた。 温室の中は大分手入れされていなくて、寂しい感じがしたけど、それまでは愛情いっぱいに育てられていた様子が見られて、暖かくもあった。珍しい薬草とかもあるから自然と温室の揺り椅子に座りながら調べることが多くなっていった、そんなある日のこと。 初めて、温室に私以外の誰か、が来た。 .
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