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「………」
誰一人として話し出さない雰囲気に、胸がざわざわとざわつく。
こういう雰囲気を作り出してしまったのが私だと分かっていても、身動き一つしたくなかった。
テーブルを挟み向こう側。
桐山雅人も動く事を恐れているかのようにピクリともしない。
大事な話しがあるというから嫌々座ったのだ。
もしかしたら海斗の会社に関する事かもしれないと思って。
海斗は私の隣りに座り頭を抱えている。
だから私の予感もあながち嘘じゃないのかもしれない。
桐山雅人がまた何かをやらかして海斗が困っているとか…。
でもそれだと私まで同席する必要性が分からなかった。
…だから、きっと私にも関わっているに違いない。
私も関わっている海斗の会社の事なんて…。
考えていても浮かばないのだ。
桐山雅人が何か話してくれたら…と思うのに、口を開くな、とも思う。
結局どっちなのよ私…。
いずれは聞かなきゃいけない話しならさっさと済ませてしまった方が良い。
覚悟を決めた私は小さなため息と共に口を開いた。
「…お話というのは?」
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