衝撃の事実

3/8
前へ
/77ページ
次へ
私の声に一瞬肩を揺らし、桐山雅人が私を真っ直ぐに見る。 思わず目をそらすと彼は小さく声を漏らした。 「…まずは…遊里さんに謝らなくてはいけませんね。先日の事、本当に申し訳ありませんでした!謝って済む問題ではないと分かっていますが…本当に…」 「それはもう良いです。それより本題に入って頂けませんか?」 「遊里、その言い方は…」 刺々しい言い方をする私を咎める海斗を睨みつける。 何故この男を庇うのか。 私には海斗が理解できない。 「…母が、入院したんです。」 え…? な、何? 桐山雅人の発言に呆気にとられてしまった。 今何故彼の母親の話しが出てくるの? 「胃ガンなんです。…放っておけばあと一年と持ちません。手術の成功率は決して低くないんです。だけど手術を受けたがらなくて…」 気にせず続ける桐山雅人の声が震えている。 「母はこのまま死にたいって…だけどっ…だけど僕は…。」 以前会った時の桐山雅人とは、印象が全く違った。 母親を心配する、ごく普通の息子に見える。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5544人が本棚に入れています
本棚に追加