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だけど…だからと言って許せるわけではない。
でも…。
チラッと桐山雅人の顔を見ると、その瞳には涙が溜まっていた。
………。
彼だって、人の子なのよね。
もし胃ガンになったのが私のお母さんだったら…私だって辛いしどうしたらいいか分からない。
何故その話しを私にするのかは分からないけど…今までの私の態度は今の彼にするような態度ではなかった。
怒りを抑え、海斗の顔を振り返る。
そこには心配そうに私を見つめる目があって、胸がチクンと痛んだ。
海斗はこの話しを知ってたから私の言い方を責めたんだ…。
そう思えば海斗が怒ったのも分かる。
一度目を伏せ、顔を上げた。
「それは…大変でしたね。お母様、手術を受けてくれれば良いですね。」
なるべく怒りを抑え、穏やかに言う。
その途端に桐山雅人が目を見開き、その瞳から雫が一筋頬を伝った。
え…?
なんで驚いて…。
「よ…かった…。母の事を心配してくれるんですね!?母も喜びます!!」
嬉しそうに笑う彼に、今度は私が驚いてしまった。
な…んで私が心配すると彼のお母さんが喜ぶの…?
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