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「母は…今でも遊里さん達を置いて出た事で自分を責めてるんです。だから手術を受けようとしない!これが天罰なんだ、そう言って笑うんです。だから遊里さんが赦してくれれば母だって…」
「関係ないわ!!」
私の放った一言で、桐山雅人の顔が凍りつく。
いつの間にか握り締めていた手に力が入りガタガタと震えた。
「なに…?なんなの…?自分は子供を捨てておいて…自分が死にそうになったら息子を差し向けて赦してって説得させるの?」
「違っ…これは僕が勝手にっ」
「可笑しくて泣けてくるわ!!…自業自得よ!!帰って!!二度と来ないでっ!!」
私の怒鳴り声が部屋中に響き、メガネの奥の彼の瞳が歪む。
それまで静かに見守っていた海斗がゆっくりと立ち上がり、私の腰に手を回した。
「…今日はもう無理だ。帰ってもらおう。」
「もう時間がないんです!!」
「今は冷静に話しを聞ける状態にないんだ!!見て分かるだろう!!」
海斗の強い口調にビクつき、桐山雅人は顔を伏せた。
床にポタポタと涙が落ち、私の苛立ちを刺激する。
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