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小さな子供だった私の心を閉ざしたのはあの人だ。
そしてそれを再び開いてくれた今の母が私の本当の母親。
お兄ちゃんもそう思ってると確信してた。
だけどお兄ちゃんは違うんだ。
あの人を恨んでもいない。
憎んでもいない。
死ぬのを助けるために会いに行くんだから。
…今の私の味方は、兄だけだったのに…。
ポタポタと涙が頬を伝い芝生を濡らす。
それとは反対に、私の心は乾いていくようだった。
私をいじめた子達の見下げるような目。
泣きたくて帰った家の、悲しいくらいの静けさ。
幼稚園で無理して書いた家族の絵は、貼られた次の日には誰かに破られていた。
「嘘つき」と裏に書かれた文字を見て、私はやっぱり精一杯笑った。
カラカラ。
心が乾いていく。
自分の指先が冷たくなっていくのが分かった。
先程まで怒っていたとは思えないくらい、頭の中が冷めていく。
静かに携帯を拾いポケットに突っ込んだ。
いつの間にか涙は止まり、そのまま屋敷へと歩き出す。
私の中のどこかで、扉が閉まるような音がした。
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