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食事を食べ終え、またベッドの上でまったりと体を寄せ合う。
心地良い沈黙と、その中で響く互いの鼓動。
海斗の胸に頬をすり寄せたら、ごく自然に頭を撫でられた。
「遊里。」
突然真剣な声で私の名を呼ぶ海斗。
「なぁに?」
幸せな気持ちで返事をすると、一瞬張り詰めた空気が漂う。
「…?」
不思議に思い顔を見上げ、海斗の辛そうな瞳と目が合った。
「…俺を愛しているなら、冷静に聞いて欲しい話しがある。」
「え…はい。」
「明日…ここに客人が来る。…遊里にとっては二度と会いたくない相手かもしれない。」
二度と会いたくない相手?
首を傾げると海斗が眉を寄せたまま微笑む。
その微笑みがどこか遠慮がちで。
不安で胸が締め付けられた。
「だが…お前にとっては大事な相手だ。その人はお前の……」
海斗が言いかけた途端に、再びドアがノックされる。
「っ…なんだ?」
苛立ったようにドアに向かって言う海斗。
「失礼します。お客様がお見えです。」
茜さんの声がして、海斗と二人顔を見合わせた。
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