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「どうして…」
応接室まで行きドアを開けた瞬間、私の目が見開かれる。
ふらつく私の体を支えるように立つ海斗も驚いていたようだった。
「…約束は明日のはずだが?桐山。」
海斗の発した言葉に息が詰まる。
じゃあ明日来るはずだった客人て…。
目の前に立つ桐山雅人は、ハッとしたように目を丸くした。
「すみません。日にちを間違えたようです。」
「…来てしまったものは仕方がない。座ろう遊里。」
呆れた声で言い海斗が私の背を押す。
しかし、私はそれに逆らうように足を踏ん張った。
「遊里。」
「い…嫌だよ!なんで桐山さんが…どういう事!?」
海斗が言ったように、桐山雅人は私が会いたくない人物だ。
テーブルを挟んだだけのこの距離で向かい合うなんて耐えられない。
私を脅して…無理やり抱こうとしたこの人となんて!!
「遊里、それは今から話すから…」
「海斗だって桐山さんの事怒ってたでしょ!?なんで会う約束なんか!」
なだめる海斗の手を振り払い叫んだ。
その時、それまで黙っていた桐山が口を開く。
「…大事なお話しがあるんです、遊里さん。」
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