緋村物語(序)

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「カンカンカン!」 漫画の様なフライパンをお玉で叩く音。 そんな母親の朝の合図で彼の朝はここから始まる。 眠い目をこすってベッドから起き上がる。 彼の名前は緋村涼。今のところただの変哲のない高校2年生の17歳だ。 そう、今のところは。 「朝よ~。遅刻するわよ~。」 「解ってるよ~!」そう言いながら7時を示す時計を確認してまたベッドに横になる涼。 「涼、大丈夫なの~!?」 母親の声でハッとする。お約束の2度寝をしてしまっていた。時計を見ると8時過ぎを示していた。 「やっべ!遅刻じゃん!!」 ベッドから飛び起きる涼。すぐに制服に着替えてキッチンへ。 「お弁当忘れちゃダメよ~。あと、テーブルの上に朝ごはんあるからね。」と母。 朝飯はトーストだった。バターの塗られたトーストをくわえて靴を履き替え玄関を後にする。 「まさか、漫画みたいにトーストをくわえてリアルに登校するなんて思っても見なかった。」
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