2人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「カンカンカン!」
漫画の様なフライパンをお玉で叩く音。
そんな母親の朝の合図で彼の朝はここから始まる。
眠い目をこすってベッドから起き上がる。
彼の名前は緋村涼。今のところただの変哲のない高校2年生の17歳だ。
そう、今のところは。
「朝よ~。遅刻するわよ~。」
「解ってるよ~!」そう言いながら7時を示す時計を確認してまたベッドに横になる涼。
「涼、大丈夫なの~!?」
母親の声でハッとする。お約束の2度寝をしてしまっていた。時計を見ると8時過ぎを示していた。
「やっべ!遅刻じゃん!!」
ベッドから飛び起きる涼。すぐに制服に着替えてキッチンへ。
「お弁当忘れちゃダメよ~。あと、テーブルの上に朝ごはんあるからね。」と母。
朝飯はトーストだった。バターの塗られたトーストをくわえて靴を履き替え玄関を後にする。
「まさか、漫画みたいにトーストをくわえてリアルに登校するなんて思っても見なかった。」
最初のコメントを投稿しよう!