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忍び頭として、父親として育ててくれた…そう自分の目に写っている。
頬に火傷の痕がある父の顔を見ていると、ほっとするときがある。
母は、自分を産んだ後に、亡くなった。
流行病が母の体を蝕み、命を奪ってしまった。
母の顔は、分からない。声も姿も何もかも分からない。
頭にあるものすべてが、父の顔や声や姿である。
父は、自分に『楓』と名付けた。母の名も『楓』であり、父がどれほど母を好きであったのか、どれほど悔いているのか、よく分かる。
父は、忍頭として忍びたちを、よくまとめていた。忍びたちの相談事によく首を突っ込んでいた。
そのせいなのか、
風魔や甲賀、伊賀のように大所帯にはならなかったが、皆が忍頭を慕い、里の仲間として各地からやってきた。
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