縫いぐるみ行進曲

第１章 犬の縫いぐるみ チャコ

夕陽がとても綺麗だが、刻々と暗くなる頃に５歳ぐらいの少女が母親と手を繋いではしゃぎながら長い道程を歩いている。

２人が向かった先は歴史あるような古い駅。入り口で他愛もない会話をしている内に１人の男性が２人に手を振り、溢れる人々を掻き分けながら近寄った。

「やぁ、待たせたね」

「パパ！お帰りなさい」

「ただいま。瑠花、帰りに何かプレゼントを買ってあげような」

「わぁ～い！ありがとう、パパ！」

少女の名前は犬飼瑠花(イヌカイルカ)。大はしゃぎをして喜び、親より先に走り出しスキップをしながら前に進んで行く。