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二人を包む香りは甘いチョコレイト?
それとも――…
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冷たい風が頬を撫でる。空も快晴、雲一つ見当たらな…あ、一つあった。
、何がともあれ今日は2月14日。所謂チョコレート会社が繁盛する絶好の日である。可愛く無い例え方だなとか言った奴ちょっと前出て来い。可愛く無くて良いんだよ。
「いーぃもーぉこーぉ!」
来やがったなこのやろう。
バタバタと走って来る方に視線を向ければ、アホの太子がこんなクソ寒いのに汗を垂らしながら手を振っている。
無視したい…なんて願望は見事に打ち砕かれてしまう。そろそろ泣こうかな。
「ホホイ!妹子、今日何の日か分かってるんだろ?」
「……まぁ。」
やはり来たか、催促。
『それなら早く出しんしゃい』とかムードのカケラも無い言葉を言って来るがもう慣れた。
コイツにムードは求めちゃいけない。
「はい、どうぞ。」
溜息混じりに小さくラッピングされた一応手作りのチョコを渡す。
太子は目を輝かせながらその包装を解いて一口サイズのチョコを口に…
入れた。
「赤味噌ッ!!」
「正確です。」
この後目茶苦茶ヘコまれた為に作り直すハメになった。
二人を包む香りは赤味噌でした。
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