命令

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「そ、う…」 「うん。綺麗だよ」 ―…嬉しかった。 綺麗だなんて、今まで言われた事んてない。 路上で生活している時なんか、汚いとか臭いとか…そういう事しか言われなかった。 綺麗な髪に、憧れてた。 たまに通る貴族達が、羨ましかった。 初めてくしでといてもらった時は、夢かと思った。 私の髪の“本当の姿”が、こんなにも綺麗だったなんて。 「ノアの髪は、真っ黒だな」 「うん」 「真っ直ぐで、サラサラ」 「うん」 「だから、黒いドレスがよく似合う」 「…うん」 黒い髪は好き。 私に合っていると思う。 …でも。 黒が特別好きな訳じゃない。 だからさ、オウジサマ。 もう黒いドレスはいらないよ。 着たくないよ…。  
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