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あの日は雨が降っていた。
こんな日は、町の皆は誰も家から出てこない。
家のない私は、雨の中ただ1人でうずくまっていた。
寒いとか苦しいとか、そんな感情は一切なかった。
―…忘れてしまったんだ。
「腹へったなー…」
ただ、お腹の減りだけは、忘れようにも忘れられなかった。
「あーあ。食い物盗もうにも、店やってねぇしなー」
こんな天気じゃ、どの店も閉まってて、食べ者が手に入らない。
だから雨は嫌いなんだ。
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