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空には軍の戦闘機…。
海には軍艦。
不幸を知らせるような光景が広がる。
彼女はいつものように手を繋ぎながら彼と帰っているとき…。軍の戦闘機が異常なまで飛び交っていた…。だから、彼女も悟っていただろう…。けど、明るく綺麗な笑みを浮かべて幸せそうだった。
けど、戦争が始まっていたのだ…。
空の戦闘機はまるで、漆黒におびた鴉のようで、空はとても汚い血に染まった赤い色に見えた。
悲しみに包まれ始めた鈴の音…。
突然の事だった。二人の家に白装束に包まれた老婆が来た…。老婆の手には赤い手紙が……その手紙には彼に《戦争へ行け!!》と告げる内容がつづられていた。
彼は
「君は僕がいなくても平気ですか?」
と問う…
私は
「…平気じゃない…」
彼は
「けど、この手紙は拒否が出来るものじゃないんだ…頼むから分かって欲しい…君の口から平気だと聞きたい…」
「うん…平気じゃないけど…………必ず帰って来て……」
老婆はゲラゲラと奇妙に笑いながら
「右手は空へ、左手は海へ捨て……立派に蒼天仰げ」
と高らかに言い放つ…。つまりは命を捧げろと言うこと…。
彼は特攻隊に配属された…。
不安が零れ涙色になった鈴の音…。
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