-弐-

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空には軍の戦闘機…。 海には軍艦。 不幸を知らせるような光景が広がる。 彼女はいつものように手を繋ぎながら彼と帰っているとき…。軍の戦闘機が異常なまで飛び交っていた…。だから、彼女も悟っていただろう…。けど、明るく綺麗な笑みを浮かべて幸せそうだった。 けど、戦争が始まっていたのだ…。 空の戦闘機はまるで、漆黒におびた鴉のようで、空はとても汚い血に染まった赤い色に見えた。 悲しみに包まれ始めた鈴の音…。 突然の事だった。二人の家に白装束に包まれた老婆が来た…。老婆の手には赤い手紙が……その手紙には彼に《戦争へ行け!!》と告げる内容がつづられていた。 彼は 「君は僕がいなくても平気ですか?」 と問う… 私は 「…平気じゃない…」 彼は 「けど、この手紙は拒否が出来るものじゃないんだ…頼むから分かって欲しい…君の口から平気だと聞きたい…」 「うん…平気じゃないけど…………必ず帰って来て……」 老婆はゲラゲラと奇妙に笑いながら 「右手は空へ、左手は海へ捨て……立派に蒼天仰げ」 と高らかに言い放つ…。つまりは命を捧げろと言うこと…。 彼は特攻隊に配属された…。 不安が零れ涙色になった鈴の音…。
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