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「痛つつつ…………。
やたら痛ぇ………。」
擦り傷だらけになった顔を抑えて呻いていると、ぞろぞろと不良たちが屋上に入ってきた。
(うわぁ……やっぱり多いぞこれ20人以上いるだろ死ぬぞこれは楽に死ねるだいたい1人をボコるのにこんなにいらんだろ俺なんか3人でも充分過ぎるだろうコノヤロー。)
頭の中ではずっと悪づいている俺だが、口には出さない。
え? ヘタレって?
ヘタレじゃねぇよ。ただ人一倍自分の身が大切なだけだよ。
なんて馬鹿言っているうちにフェンスを背にずら~~と囲まれてしまう俺。
少しも逃げれるような隙間は無く、ぴっちりと並んでいる不良たち。
言外に「逃がしゃしねーよ。」 とでも言われているような錯覚に陥る。
「さてと……始めるか……?」
急にマッチョさんが切り出した。
「えっと………ちなみに、何をですか?」
自分でもヒクついているとわかるような愛想笑いを浮かべながら聞いてみる。
「もちろん、シメる。」
やっぱりか……だはーー、と大きな溜め息をつく俺。
「………ちなみに、ここから実はドッキリです、みたいな展開は?」
「無い。」
きっぱりと、そして簡潔に最後の希望を一蹴される。
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