添木悠介とその少年の失敗

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 俺は、昔からこうだった。  幼少のころから、いつも不幸なのは俺だけだった。  蜂の巣にみんなでイタズラをしたときに蜂は俺だけを狙って襲いにきたし、鳥が頭にフンを落とすのも、いつも俺だった。  野良犬に追われるのも、  自転車パクられるのも、  修学旅行や遠足の前日に風邪を引くのも、  痴漢に間違えられるのも、  野球部の打った球が命中するのも、  街中で不良に絡まれるのも、  店の前で水撒いてるおじさんに水かけられるのも、  買ったばかりの靴で犬のフン踏むのも、  急にカラスに襲われるのも、  化学の実験でアンモニアが制服にかかんのも、  全部、全部俺だった。  俺の後には常に『不幸』の二文字がついて回った。
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