添木悠介とその少年の失敗

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「ハ……ハ、ハハハハハ!」  もう、笑うしかなかった。 「何を笑っている?」  急に笑い出した俺を訝しげな顔で見るマッチョ。 「いや……もう笑うしかなくてさ……。  あまりの不幸っぷりに。」  まだ俺の顔はにやついているだろう。  大胆不敵に、最強凶悪な笑みを浮かべているだろう。  そんな俺を見て、不良は一瞬たじろいたがマッチョの表情だけは変わらない。 「悲観してるのか?」 「多少はな。」  多少、と言った俺をマッチョは鼻で笑って聞く。 「勝つ気か?」 「まさか。」  そして俺はしっかりとフェンスを掴む。 「逃げる気だ。」  そして一気にフェンスをよじ登った。
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