添木悠介とその少年の失敗

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 なぜ俺がこんな学校に入ってしまったかというと、父親の転勤により前の学校への通学ができなくなり、「どうせもう三年で受験するぐらいだし、近い学校でいいじゃん。」 というやたら短絡的かつ安直な考えで何も調べずにこの学校の編入試験を受験、転入が決まったのだが、正直残りの一年を生き残れるのかやたら不安です。  皆さん、何事もちゃんと前もって調べておきましょう。  俺が半分泣きそうになっていると、やたらと視線を感じた。  しかし、それはただ単に転校生を見る目ではない。  なんか、「あの新入りどうシバこうか」 という感じの禍々しいものである。  まともな人種はいないのか!? と俺は必死になって探すが、僅かにいても「転校生? だから何?」 とでも言わんばかりに見向きもしない。 (これは……これはマズい!  これ絶対俺シメられるもん! この後絶対「面貸せやゴラァ」って言われる自信あんもん!  あーチクショー。やたらハシャいでワックス付けて来なけりゃ良かったー!)  俺は「僕は空気です。話しかけても意味ないですよ。」 ということをアピールするために机で寝る体勢に入ったが、そんな俺の好アピールを無視されてポン、と俺の肩に手を置かれた。
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