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悠助は其れを見送りながら、団子に手を伸ばすが、何時まで経っても掴めない。
不思議に思って皿を見れば、まだ食べていないはずの団子が消えている。
思わず首を傾げた時、不意に上から声が降ってきた。
「親分が怯える必要はないと思うけどねえ」
悠助が其方に目を遣れば、団子を頬張る勒七の姿があった。
見る見るうちに消えていく団子を見ながら、悠助は大きく溜息をついた。
「おや?幸せが逃げてしまうよ?」
「誰のせいだと思っているんだ貴様は」
「あれや。悪かったね」
口では悪いと言いつつも、しっかりと全部の団子を食べ終えた勒七。
「……お前はどう思う?」
悠助は痩せ細った団子を見ながら、諦めたように声を発した。
「修羅のことかい?」
「嗚呼。何故修羅は仕事でもないのに居たのだ?」
「二人を助ける為だったらどうする?」
どうするも何も、有り得ないと思った悠助は鼻で笑った。
「下らない」
勒七は面白そうに口元を歪めた後、団子を注文した。
最初から自分で注文しろよ、と悠助が思ったのは言うまでも無い。
『再会』完
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