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綾菜と琴音が出掛けて数刻。
家を出た時は体を包んでいた暖かい日差しも、今ではすっかり無くなっていた。
その代わりというように、冷たい月明かりが体を包んでいる。
「遅くなっちゃったね」
「悠助達に怒られるわね」
そう言って小走りをする琴音と綾菜。決して態と遅くなったわけではない。
しかし遅くなったことは事実。勒七は兎も角、悠助は確実に怒るだろう。
安易に想像出来た二人は、思わず身震いすると、早く帰る為に速度を上げた。
しかし其の刹那、一人の男が此方に近付いて来ることに気が付いた。
「へへへ……女だけで出歩くなんて危ないぜ?」
そう言ってにやにや笑う男。
明らかに、この男と関わる方が危ない。
二人が後退り時、男の背後から新たな声が聞こえてきた。
「自殺行為だぜ。手前みたいな酔いどれもなァ」
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