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「小俣教授」
「どうしましたか、倉田君」
「正直、見つけられる気、しないよ」
「それは、何故ですか?」
「この大学は、そんなに大きいわけじゃないけど。
本人の手がかりがなんにもないし。
麻薬の取引してるとこにバッタリ遭遇しない限り、無理じゃない?」
「バッタリ遭遇しますよ。」
ずずず、とコーヒーをすする音がやけにでかい。
「君たちの、人柄を持ってすればね」
…謎。
そのとき、勢いよく扉が開いた。
「へっへーんだ!!!
雄大なんかに負ける気しねー!!!」
そう言いながら彼女は部屋に飛び込んでくると、扉を閉め、鍵をかけた。
と同時にドアノブがガチャガチャと音を立て、
ドアの向こうから、
「おい!!実白!!
それ早く返せ!!いー加減にしろ!!」
「ぜーったい、やだね」
「…はー…もーいい。」
ドアの向こう側が静かになる。
彼女は、ドアを開け彼がいないことを確認すると、
くるっとこっちに向き直り。
「奪還、成功」
と、
ケースが赤くよくみる気がする銘柄のタバコを、パッと見せてみた。
「毎回よくやるよ、ほんと…」
「うるさいよ、かなり。」
「はいはい、すいませーん。
はー。どーやったらあいつ、禁煙すんだろ?」
そう言いながら、割りと物腰は柔らかく。
彼女はフワリ、といった感じでソファーに座った。
「実白さん。
男性にいうことをきいてもらいたいときはね、こうするんですよ」
「えっ何々!!?」
耳、貸してください。
と小俣教授が言うと、彼女はサッと頭を寄せて。
「……そんっ!!!!
な、こと、できるわけねーだろ!!!!!」
と言って、閉めたばかりのドアを開けて出ていった。
すると、
「ぎゃー!!!
待ち伏せなんて卑怯なことすんなぁ!!!
心臓に悪いだろ!!!」
…なんて声が聞こえた。
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