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「…悪かったってば」
「もっと反省しろ」
結局、さっきまで居た風紀隊の部屋に逆戻りした。
ストーブをたき、とりあえず上半身に着ていた服と靴下、靴を乾かす。
携帯は、自分でも知らなかったが防水だったらしく、無事だった。
「なんか、すっきりしてなかったから」
「何の話?」
「アキの顔が」
「俺の顔がすっきりしてなくて、それで、あーしたのか」
「ウンコ、出しきってないよーな顔じゃん。
アキって」
そんな顔してねーよ、とか
口汚すぎるだろ、とか
色んなことを思ったけど。
まず。
「綾野さん、あんたさ。
もーちょい服着てくんない?」
「あ、これ、水着だから」
下着じゃないのは、部屋に入ったときさすがにわかったけど。
ニコッと笑い、手を左右にひらひらさせる彼女に、無性に苛ついて。
「…わっ、ちょ、…!!」
俺は、正面のソファに座る綾野さんの片足を引っ張り、床に引きずり下ろした。
仰向けの彼女をくみしいて。
「あんま肌、出すもんじゃねーよ」
と、言うと。
「?」
まさにキョトン、という感じで。
俺が何を言いたいのか、全くわかってなかった。
「…もういい」
「何なんだよ、わけわかんねーやつ」
俺は彼女から離れ、ソファに座り直す。
「…なんで閉館してるのに、いたわけ」
少し、間が空いて。
「下手だから、1人で泳ぎたいのー」
「そんな勝手なこと、していいの」
「おじいちゃんがいいよって。
担当の人が、4時30分になったら泳いでる人追い出してくれるんだ」
お前の城かよ。
なんて思いながら少し、違和感。
何だ、この違和感?
自分のわがままでそこまでやるのが、
彼女らしくないような。
何か、引っ掛かるような。
何か、嘘のような。
そんな違和感。
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