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俺、市村俊也。17才。
一般家庭の家に生まれた三男で、夢は絵本作家になる事だ。男だけどな。
そんな少女マンガよろしくの自己紹介をしたのは俺の頭がおかしくなったのかどうかを判断する為だ。残念ながら今の俺は正常らしい。非常に残念だ。
試しに頬をつねってみたが普通に痛い。という事は夢を見ている訳でもないらしい。
では
「はなっ離せ!離せぇ!」
俺の捕まえた"コレ"は一体何なのだろう…
戦慄のフェアリーテイル
とりあえず、今の状況を詳しく説明しよう。
俺は学校からの帰りだった。所属する文芸部も休みだったし(ほとんど活動していないんだが)バイトも休みだったので、久しぶりに友達とたわいもない話とかしながら一緒に帰っていて。
で、友達と別れた後に近所のお気に入りの自然公園で写生をする為、のんびりと散歩をしつつ場所を探していたら…
「ぶっ!」
"コレ"が足元にぶつかってきたので捕獲した訳だ。
失礼。"コレ"の説明をしていなかった。
"コレ"の大きさはみかんがよく入ってる段ボール位。重さは片手で持ち上げられる程度(現に今掴んでいる)で、目の色は真紅。全体はふわふわの白い毛に被われている。
要約すると
"白ウサギ"
である。
「このっこのっ!」
ただ皆さんも知っている通りウサギは喋らない生き物だ。それに犬に服は着せてもウサギに服は着せないだろう。モノクルなんてもっての他だ。犬でさえメガネはかけん。
外見はそう…『不思議の国のアリス』に出て来る白ウサギそっくりだ。
「むきょー!」
「…少し落ち着けないのかお前」
さっきから俺から逃れる為にウサギは必死に手足を動かしているが全く効果はない。
「必殺パンチ!必殺キック!」
手足が短いというのは実に可哀相である。
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