王女と絶望

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彼女は、この国の王女であることに誇りを持っていた。 世界で一、二を争う豊かさ。 数々の大自然に囲まれた、広大な国土。 洗練された文化、芸術。 全てが、彼女の誇りだった。 だけれど…今日、街中を歩いた彼女はスラム街の存在を知った。 この国では、魔法が生活を左右する。 スラム街の住人は皆、何かしらの事情で魔法が使えない。 そんな者達を保護せずに、見捨てている王家を始めとする貴族達。 挙げ句の果てに、侍女から聞いた話によれば、スラム街の住人を無理やり奴隷として扱って商売をし、その利益を使って賄賂を渡して成り上がった貴族もいるという。 そんな、欲望にまみれた裏側を知った彼女は、自分自身の無力さに、生きる気力さえも失いかけていた。
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