王女と絶望

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《俺は、ちゃんとここに居る…》 「―誰?どこに居るの…?」 再び響いた正体不明の声に、彼女は身を震わせながら声の正体を探す。 すると、声は彼女に答えるかのように響く。 《…お前の、後ろだ…‥》 「―っ!?」 彼女が振り返ると、そこには誰も居ない。 その代わりに、手のひら程の漆黒の球体状の光が、ゆらゆらと揺れていた。 「何これ…もしかして、声はここから…?」 禍々しい漆黒の光は、どこか自分と同じ感じがする。 そんな事を感じながら、彼女は漆黒の光に手を伸ばす。 《…こいつ、“死”に魅せられてるな…》 「…?」 《おい。お前…負の念を抱いているだろう?》 「負の念…?」 相変わらず部屋に響く声は、彼女を次第に虜にしていく。
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