α

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――なにしてるの? ――もうすぐだから。  兄は僕に微笑みました。  僕は訳がわからず首を傾げます。  兄が僕の手を、強く、握り締めました。  それが少し痛くて、顔を顰めました。 ――……メイ? ――…なに、エイ。  その幼い顔に似つかわしくない笑みを浮かべたまま、正面を見たまま、僕に問いました。  目の前には、たくさんの人、横断歩道があって、青や赤に変わっても動かない僕らをみんな不思議そうに見てきます。  僕は、渡らないのかな、と思いましたが、兄に動く気配がないのでやめました。 ――エイ? ――…ねぇ……  僕は兄が大好きです。優しいし、かっこいいし、僕にとってのヒーローみたいなものでした。  けれど同時に、  ――僕は兄に恐怖を感じてました。 ――メイは、僕が怖い…?  少しだけ、と僕は嘘を吐きました。  
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