似てる二人と

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 ガヤガヤと五月蝿い教室の中。既に何人かに絡まれたが、全て無視した。騒音に頭痛がし、俺の眉間の皺は深くなるばかり。特にする事もなく、自分の席に座って腕を組む。  高校に入ったばかり。これからの人生に夢を膨らませ、皆やけに気合いが入ってる。うざい。果てしなく鬱陶しい。まずそのくっさい香水をなんとかしろ。そう言いたくなるのを抑え、やけに甲高い声を上げ、声をかける女子を視界にいれないよう努力した。  暫くすると、担任らしき男が入ってきた。簡単にこれからの流れを説明し、直ぐにチャイムが鳴ると体育館へ移動させられた。 「――…えー、君らも本校に入学し…」  入学式の際も、俺は終始不機嫌だった。  体育館は寒いし、花粉症で鼻水が出るわ涙が出るわでとにかく身体的にも精神的にも不調だった。校長の話も単調で退屈だったし。  最悪の一日だ。  …けれど、アイツと出会ったのも、この日だった。  
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