ドールと愚者の輪舞曲

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あぁマリア。 僕のマリア。 男が語りかける。 傍らの人形に。 金髪碧眼の人形は、まるで生きているかのような光を瞳に宿し、 確かに人形だと語る、球体関節を晒す白いドレスを身に纏う。 ああマリア。 僕だけの聖母よ! 男は狂ったように、語りかけ、 正常な眼差しで人形を愛でる。 独りが二人になった夜。 男の傍らのマリアが語りかける。 『プランツ・ドールは愛を求める。 されど私が求むのは、愛しき貴方の心そのもの。愛しき貴方の心をくれる?』 『マリア!僕だけの聖母!君が望むなら、僕が持つ全てをあげよう!』 『ありがとう、私だけのメシア…』 二人が再び独りになり、 独りは、ついに零になり。 男は人形の聖母の腕に眠る。 それは、永遠の『 』
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