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男は当然、全身びしょ濡れ状態。
暗くてはっきりは見えないけど、目鼻立ちがくっきりしてて…所謂イケメンってやつ。
…足音は雨音に掻き消されてんのか?
男は固まったように、俺に綺麗な横顔を向けたまま微動だにしない。
ぱっちりとした瞳には容赦なく雨が刺さり続ける。
……俺には泣いているようにも見えた。
変に絡まれたら面倒。
俺は息を殺し、男の横を通った。
通った…けど、
何故か気になって気になって、立ち止まり、恐る恐る振り返った。
「……た…す…て…、」
雨音が邪魔をしてよく聞こえなかったが、男の唇が動いてたから…あぁ、あの男の声か。
俺は止めていた足を再び動かそうと、視線を男から外した瞬間、
「おいおい、マジかよっ!!」
バシャっと僅かに音をたて、男は地面の上に倒れた。
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