未原作軸(幼少期~小学時代)

3/7
前へ
/12ページ
次へ
ぎょっとして振り返って、その人を凝視する。(ここ風呂場だけど) その人は、 柔らかそうなクセッ毛に少しツリ気味な大きな目… 一般にいう可愛い分類だろうか、そういう容姿をした女の子だった。 「あかや?」 私が不躾に見ていたせいか、彼女は可愛らしく首を傾げてもう一度同じ言葉を言った。 “あ か や” 一瞬訳が分からなかった。 だって、某テニス漫画でよく赤目になる子が浮かんだから。 『(あれ、でもそれは漫画…)』 記憶が混雑しているかのように情報の整理がつかない、 というか頭が思考がまわらない。 今の状況と記憶との筋道があまりに一致しないのだ。 「あかや?…ねぇねえっ」 私がほどほどに変な反応をするせいで彼女はかるく私をゆすった。 私は返事を返そうと思った。“貴方は誰?”と…、 「~っ、バカ也!!」 ごすんっ 『ぎゃふっ』 聞く前にげんこつがふってきた。何気痛いよ。 「もぉ、何よあかや!なんか言いなさいよ!」 『ぅあ~…ごめんって、ねーちゃん!』 あれ、私今何て言った? “ねーちゃん”…? ひとりっこだった私に【あね】と呼べる人はいなかったはずなのに 「どうしたの?すっごい声聞こえたのよ~!わぁぁって!おかーさんがアンタ見てきなさいーっ!って怒ったのよ」 間髪を入れず私の口はしゃべった。 『すべって、ころんだ…?』 それに反して何故か私の意識は徐々に薄れていった。 「はぁ…あたし、返る。心配して損し……えっ? “あかや!” そんな声が聞こえる。 ああ夢オチか… 変な夢だったな。 倒れこんだ床が少しひんやりしたのを感じて、完全にこの夢は終わった。 真っ暗になったから。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加