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また目が覚めた。
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とても微妙な夢を見た。
風呂場で女の子と会う夢だ。シチュエーションがいつになく微妙だった。
そう、いやにリアルだったけれど。
今私は布団の中にいる。
このぬくもりから出る気はしないが、少し居心地の悪さを感じて目を開けた。
バチッ
…閉じた。
あの子がいる。
夢の中にいた私がねーちゃんと呼んでいたあの子がいる。
目がモロあってしまったよ。
いや、うん…待ってほしい。なんかいろいろと。
夢…?さっきのは夢オチじゃないの?
じゃあ此処はどこ?
「あかや?気がついた?お風呂のぼせちゃったんでしょ?大丈夫?」
観念して開けた目には、信じたい見慣れた現実はなく
信じたくない夢が未だに展開されているのだ。
これはおかしいな、おかしいねうふふ…とかのレベルじゃない。
本気で訳が分からない。
面白いくらい訳が分からない。
笑って泣けそう、と思っていたら本当に泣いていた。
『~~っ、ぅぅ…』
「あかや…?大丈夫?大丈夫?」
女の子は心配そうに私を見ながら頭を撫でてくれた。
その姿が一瞬誰かと重なった気がした。
『ここ、どこ?』
今一番、心から聞きたい事を言った。
そうすれば、やはり私の思っている現実ではない答えが返ってきたのだ。
「此処はね、お家だよ。それでね、あかや君のお部屋。」
だから大丈夫。そう言って微笑む貴女にはとても申し訳ないが、私は涙が止まらなかった。
(このよく分からない激しい違和感のせいで)
『ねーちゃん…』
私の口が勝手に紡ぐ、女の子を呼ぶ声のせいで。
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