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「こっち、見てよ」
すねたような、声。
ああ、気持ち悪い。
「……私、響さんにかまってあげてる暇なんて、欠片もないんですけど」
苛立ちのままに、言葉を紡ぐ。
自分でも驚くほど、冷たい声音だった。
――さすがに傷ついたかな。
そんな考えがちらとかすめたが、彼女は全く気にしていないようで、
「ウソツキだね、蝶子ちゃん」
背後でくすくすと笑う気配がした。
ああ、もう、だめだ。
頭の中でぷつんと音がして、私は彼女を張り倒すために振り返った。
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