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クィッ
「蘭丸君、授業でないの?」
「…あとでね。」
蘭丸は、セーターの裾を摘み問い掛けた杏都の頭を撫でるとそのまま教室を出て行った。
「あづちゃんって、凄いよね。」
二人が見えなくなると隣の席の阿部 菖太が話しかけて来た。
「俺、怖くて話し掛けらんないよ。」
そんな話に便乗して、周りの生徒も続く。
「なにされるか分かんないって。」
「てか、俺らに関わるなって感じだよな。」
「あづちゃんも関わらない方がいいよ。」
『みんな、蘭丸君が怖いんだ。』
口々に発される言葉からそう感じ取り、気付くと視界が歪み始める。
それでも、蘭丸に対する非難は止まらなかった。
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