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「問題ばかり起こして行く必要があるのか?」
「ある!私は……ちゃんと高校を卒業したいんだ」
張り上げた声に親父が目を大きく見開いた。
……なにやってんだろうな、私。退学という言葉の重みに今初めて気付いた。私のせいじゃないなんて言い訳ばかりでこんなことになったのにまた高校に通いたいなんて甘過ぎる。
「……悠河」
「親父、いつもごめん。私が行ける高校なんてないよな。諦めるよ」
「悠河」
席を立つ私の背中に熱のこもった声がかかる。
「話は済んだ。部屋に戻るわ」
「待ちなさい」
「親父、もういいって。私別にーー」
「本当に高校に行きたいんだな?」
一瞬、時が止まったように声が出なかった。
「………え。親父、それって」
「聞いているんだが」
振り返った先には穏やかな親父の表情があって不覚にも胸が震えた。
「……ああ。もう問題なんか絶対起こさない。今日で最後だ」
確信はない。でもいつも最後は信じてくれる親父に今度こそ応えたいと心から思った。
そんないつになく真剣な空気を何かの音が遮った。
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