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「悠河ー!朝だ!起きろー!」
「……はあ」
まったく騒々しい。
朝方から騒がしく私の部屋に入り、親父はカーテンを開けた。だが微かな光さえなく外は暗闇に包まれていた。
「……なんなんだよ。耳元でうるせーな」
「耳元では言ってないぞ!」
「そういうこと言ってんじゃねー。今何時だよ」
低血圧な私は寝覚めが非常に悪い。相手が親父なだけに余計不機嫌だ。しかし、私の殺気さえこもってそうな声は親父には効かないらしい。
「5時」
「はあ!?5時!?今、5時っつったか!?」
布団を剥いで枕元に置いてある時計を手に取ると、短い秒針は確かに“5”を指していた。
「爽やかな朝!澄んだ空気!なんていい朝なんだ!なあ、悠河!」
「まだ外は暗くてなんも見えねーだろうが。朝っぱらから喧嘩売ってんのか」
どうりでまだ暗いはずだ。鳥のさえずりも聞こえないほど辺りは静寂に満ちていた。
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