第1話

3/26
前へ
/41ページ
次へ
「なんだなんだ。気合いが入ってないなー、悠河!今日から新しい高校に行くんだぞ!嬉しくないのか?」 新しい高校。まだ実感は湧かないがあれよあれよという間に事が進み、今日がその初日だ。結局私は退学だったが、転入手続きが嘘みたいに上手く済んだのは今でも信じられない。 「悠河、聞いてるのか?」 「……しつけーな、気合いが入ってても学校に行く為に5時なんかに起きねーよ。むしろ初日だからこそちゃんと睡眠取らないとだろうが。こんな時間に起こしやがってふざけんな!」 娘より張り切ってどうするつもりだ、この親父。くそっ、ケーキバイキングで食べる前に起きちゃったじゃねーか!なんでこんなタイミングで起こされないといけないんだよ! 沸々と湧き上がる怒りを抑えようと布団で頭まで覆った。 「……あー、もういい。もっかい寝る」 「じゃあ私も一緒に寝てやろう」 「気色悪いことすんな!つか、娘の部屋に勝手に入ってくんじゃねー!」 本気で布団にもぐろうとする親父を容赦なく蹴り倒した。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

461人が本棚に入れています
本棚に追加