第1話

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紙には親父が私の為にと描いた目的地である学校とその方角と周辺の絵。一見問題なさそうだが見れば誰でも一瞬で絶望感を味わうだろう。 何故なら親父はめちゃめちゃといっていいほど絵心が、ない。小学生……いや、小学生以下のレベルの絵。かろうじて分かるのは学校と方角。 「これで分かるかってんだ、あんのバカ親父!」 この道をしばらく真っ直ぐ、という言葉を鵜呑みにして回らない頭のまま家を出てきたそしてこの絵に気付いたのは数分前。家に引き返そうにも時既に遅かった。 私はなんだ。超がつくほどの方向音痴だって知っていながらこれで辿り着けると?こんなの私以外の奴だって無理に決まってる!辿り着けたら神だ、神。 怠そうな歩みを止めてシンキングタイムに入る。……どうすればいいんだ。このままじゃ本気で迷い続けるかもしれない。 途方に暮れるとは多分こういうことだろうと知識が一つ増えた。うわ、全然嬉しくねー。 「これ、あんたの?」
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