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「ふざけんなよ!」
派手に割れた窓ガラスの破片が四方八方に飛び散り遠目に見ていた生徒達の悲鳴が上がった。上から見下ろすように睨む男の前には片足を立てながら女子生徒が俯いている。
「ちったあびびったか?手加減してる内に早く失せやがれ」
鋭利な破片で傷付いた頬から血が垂直に床に落ちた。
「……手加減だと?黙ってれば強気になりやがって、バカじゃねーの」
「んだと……!」
「失せんのはお前の方だって言ってんだよ、バーカ」
手の甲で頬を拭いながら見上げると男は少し狼狽した様子で間合いを取った。
「痛い目に合いたいようだな?二度とそんな口叩けないようにしてやるよ!」
正面から思い切り殴りかかる男の拳を受け止め鋭い眼光を向けた。
「上等。そっくりそのまま返すっつーの」
口元の端を吊り上げると一瞬にして相手の表情が強張る。混沌とした空気が一帯を包む中、一人だけその状況を楽しんでいるようだった。
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