第1話

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「は?今、忙しいんだけど」 今朝の寝起き並に不機嫌な私に声をかけるのはどいつだ!ぶんっと効果音がつく勢いで振り返ると自分と同い年くらいだと思われる男が一名。 クールな面持ちでこちらを見据えてる目に不覚にも見入ってしまった。 「ねえ、聞こえてる?」 「き、聞こえてるわ!」 ほんとは聞こえてなかったけど! 「これ、落ちてたんだけど。あんたの?」 男がぶっきらぼうに渡してきたのはくしゃくしゃの地図の紙。私が地面に叩きつけてもはや原型を留めてなかった。 「どうも。ありがとございますー」 「あんたさ」 「……あ?」 私の精一杯の感謝の言葉を無視してまだなんかあんのか。 「……なんでもない。じゃ」 なんだ、変な奴。足を前に踏み出そうとしてあることを思い付いた。 「あっちょ、待て待て!」 「なに」 抑揚もつけずに愛想悪く聞き返してきたことに腹が立つがここは我慢だ。 「青条(せいじょう)高校ってどこにあるか知ってるか?」
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