序章

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「また君か、朝日(あさひ)君」 呆れた表情に諦めの色を含んだ声。見慣れた校長室に今日もやってきた。 「どうも。私に何か用ですか?」 「心当たりは?」 「うーん、ありすぎて逆に分からないですねー」 すっとぼけた発言をした私が癪に触ったのか、校長先生の表情が一層険しくなる。 「君はこの学校に入ってから何回ガラスを割ったか覚えているかい?」 「え?そんなの数えてるわけないじゃないですかー」 あー、もう早く終わんないかな。入室してから笑顔を崩さず適当に受け答えするのにもそろそろ限界だ。 「11回だ」 「へえ。でも私の記憶が正しければ私が割ったことは一度もないですよ。私はいつも巻き込まれているだけなんで」 「巻き込まれているだけだと?本気で言ってるのか?」 「ええ、本気です。こんな私に説教するよりもやることあるんじゃないですか?」 最後の一言が校長先生の逆鱗に触れたのか、座っていた椅子が倒れるくらいの勢いで立ち上がった。
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