序章

6/14
前へ
/41ページ
次へ
ーーというわけで、退学確実となった私。謹慎で済んだら奇跡だが退学処分宣言までされてその可能性は皆無だ。時間を置いたところで激怒していた校長先生の怒りが鎮まるとは思えない。どんまい!の一言で終わるような出来事ではなかった。 ……退学だったらさすがに笑えねー。 「あー……短い高校生活だったな……」 ぽつりと呟いた独り言は窓の向こうの声に掻き消された。サッカーをしている生徒達の声が楽しそうに飛び交っている。そんなありふれた姿がやけに眩しくて、今の私から一番遠いような気がした。 納得いかない。なんなんだよ、全部私が悪いのかよ。迷惑を掛けているのは紛れもない事実だが自分から喧嘩を売ったことは一度もなかった。 「……最悪だな、ほんと」 ロクな手当てもしなかった頬の切り傷が今になって痛み出してきた。傷をなぞると更にぴりっとした鋭い痛みが走る。 窓にうっすらと映った顔は自分なのに自分じゃないようで。この場から離れたい衝動に駆られるものの、足が固まったように暫く動けなかった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

461人が本棚に入れています
本棚に追加