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京といえば、"政治の都"江戸と"経済の都"大阪に継ぐ大都市だ。
幕府の拠点として二条城が築かれ、文化工芸の中心地として人口は五十万人を超えている。
これだけ聞いていれば、"花の都"と言われるのにも頷ける。
しかし今現在の京の治安は、想像を絶するほど悪いものだった。
一年前、大老井伊直弼が桜田門で水戸脱藩藩士に暗殺されてからというもの、勤王運動はますます激しさを増す一方だった。
それと同時に、京には多くの革命家達が集結し始める。
何故京に集結するのかというと理由は単純明快、
京には天皇様がいるからだ。
革命家達は徳川幕府を滅ぼし、天皇様の力を借りて新政府を立ち上げようとしている。
そこに便乗して幕府を倒そうと行動し始めたのが、浪人達である。
激しい勤王運動を行う志士、浪士、革命家、
それに加え、外国までもが手を出してきた。
兎に角、京の混乱ぶりは尋常ではないらしいのだ。
「その京と私達と、何の関係が?」
それまでずっと黙って話を聞いていた山南さんが、柔らかい声色で近藤さんに問う。
山南さんの言葉に近藤さんは深く頷くと、ゆっくりと続きを話し始めた。
「そこで幕府は腕の強い奴らを集めて、浪士隊を結成しようとしているらしい」
浪士隊。
思いもしなかったその言葉に総司と顔を見合わせる。
多分、あたし達が考えていることは一緒だろう。
思わず近藤さんに尋ねようとすると、総司に手で口を塞がれた。
見上げれば、ふるふると首を振るだけ。
まだ黙って話を聞いておけ、ということだろうか。
素直に頷くと総司の手は離れていった。
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