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近藤さんの話したことをまとめると、こういうことになる。
悪化するばかりの京の治安を見かねた幕府は、勤王志士達の活動を抑え、それと同時に京の治安を元の平穏なものに戻したいと考えた。
そこで提案されたのが浪士隊だ。
尽忠報国―…つまりは、忠義を尽くして国に報いる
そんな名目を使い、腕っ節の強い浪士ばかりを集め隊を作ろうという話になったらしい。
それだけじゃない。
近々、将軍家自らが京にのぼるということが決まったと言うではないか。
当然、将軍様が来るまでに京の治安を戻しておく必要がある。
浪士隊の存在が、絶対不可欠となってくるという訳だ。
「という話を、平助が持ってきたんだが」
近藤さんはそこまで話し終わると、大きく息を吐いた。
誰もが近藤さんの次の言葉を待っていたその時、
またも土方さんの声が沈黙を破る。
「あんたが行きたいと言うなら、俺は何も言わない」
土方さんのその言葉に、近藤さんは驚いたように目を見開く。
まさかこれだけの話をしておいて、予期していないとでも思っていたのだろうか。
いや、この人なら有り得るな。
そんな彼の様子を見て土方さんは呆れたように微笑むと、
「行きたいんだろう?その浪士隊の一員として」
そう言って、近藤さんの目を真っ直ぐと見つめた。
近藤さんは暫く黙っていたが、やがて大きく頷くとはっきりとこう言い放った。
「ああ、行ってみたいと思う。自分の為にも、幕府の為にも」
この人がそう言うのであれば、断る理由などあるわけがない。
その場に居た誰もがそう思ったのだろう。
皆はさっきまでの硬い表情を崩すと、口々に共に行きたいと言い始めた。
話を持ってきた張本人である平助はそんな光景を見て安心したのだろうか、安堵の笑みを見せていた。
「よし、そうと決まれば早速稽古だ!」
新さんの威勢の良い声が居間に響く。
左之さんと新さんは物凄い早さで道場へと消えて行き、
総司は久々に相手をしてもらうつもりなのか、平助に声をかけていた。
近藤さんは嬉しそうに山南さんに話をしていて、山南さんは笑顔でそれを聞いている。
そんないつもと何一つ変わらない光景に、自然と笑みが零れた。
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