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「覚悟、か…」
母家から道場へと続く渡り廊下を歩きながら、ぽつりと呟いてみる。
どうしたらいいんだろう。
どうしたら、分かってもらえる?
皆と一緒に京へ行きたい。
幕府の力になりたい。
何より、もっと強くなりたい。
そのための"覚悟"。
「難しいな…」
くるくると指先で毛先を弄ぶ。
随分と傷んでしまったそれも、もうそろそろ切らなくてはならない。
その時ふと、ある考えが脳裏に過ぎった。
髪…?
…そうか、それだ!
「一くん!」
道場に向かおうとしていた一くんの後ろ姿を大声呼び止める。
相変わらずの無表情で此方を振り向く彼に思わず笑みを浮かべながら、あたしは彼にあるお願いをした。
「あのね―…」
女としての人生なんて、もうとっくの昔に捨てて来た。
ただ一人の人間として
試衛館の一員として
あたしは生きていけばいいんだ。
今までも、これからも。
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