報告と告白

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 峰澤は義父が神奈川に残ることを惜しみながらも別れを告げ、これからの教師としての仕事や結婚生活を楽しみにしながら千葉へ行った。  それから何日かは慌ただしかった。家の掃除や荷物の整理、先祖に挨拶がてら墓参りやこれからの計画などいろいろ。  年度末の頃には引き継ぎ作業とやらで勤務する学校へ足を運んだ。  その学校までの道のりは電車で一時間弱、田舎町にしてはなかなか近いところでよかったと思った。  教員生活一年目はあたふたという言葉がまさにぴったりだった。まだ右も左もわからない彼にとっては、休日であっても頭の中は学校のことでいっぱいだった。  新人教師ということで、担任を持たされることはなかった。  しかし学級の担任や副担任に就かされなかったことだけが救いだというくらい、他のことで手いっぱいだった。
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